東所沢駅 滝の城跡は歴史的遺構が現存。障子掘や四脚門跡などを解説

県の史跡に指定 滝の城跡とは？

滝の城跡は、埼玉県所沢市の柳瀬地区で行われた発掘調査によって発見されました。1924年3月に埼玉県の『指定文化財』に登録されています。

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滝山城の支城 滝の城の遺構が残る

滝の城跡は、東西に350m、南北に200m伸びる平山城の史跡です。敷地内には、本丸・二の郭・三の郭・内郭・外郭・出郭・櫓台（やぐらだい）などの跡があります。

現在『城山神社』の境内となっている場所が、かつて本丸があった城の中心部です。本丸の周囲には土を盛った土塁（どるい）や、水の流れていない空堀（からぼり）も見られます。

滝の城の歴史

滝の城は15世紀後半に、当時の入間郡・多摩郡に領地を有していた大石信重（おおいしのぶしげ）により築城されたといわれていますが、築城者については諸説あり定かではありません。

戦国時代には河越夜戦での敗戦を経て、北条氏照（ほうじょううじてる）が城主であった『八王子城』の支城となり、警備や陣そろえの地として重要な役割を果たしてきました。

落城したのは1590年のことです。豊臣秀吉による小田原征伐の際に八王子城とともに落城し、以降は廃城となっています。

滝の城の防御施設にまつわる遺構

滝の城の周囲には、戦を想定したさまざまな防御施設の跡が見られます。その構造について詳しく見ていきましょう。

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敵の侵入を防いだ障子掘

滝の城の周囲では、城を守るために張り巡らされた多くの障子堀の跡が見つかっています。障子堀は後北条氏の城跡に多く見られる特徴です。堀の底を障子のように四角く区切ってあるため、侵攻する敵にとっては厄介な防御施設でした。

滝の城跡に残る障子堀は、多くがV字型の薬研堀（やげんぼり）です。一部の障子堀では、ローム層がはっきり分かるものあります。畝（うね）の高さは1mに満たないものから2mを超えるものまでさまざまです。

四脚門跡などの門跡

『四脚門（しきゃくもん）』とは、寺院などに多く見られる門の建築様式の一つです。中心となる本柱の前後に四つの控え柱が建つことからこう呼ばれます。

滝の城跡では、北東側に設けられた土塁の切れ目に四脚門の土台が発見されました。地面には焼土が広がっており、かつて戦火によって焼け落ちたことが推測できるでしょう。

土台の他にも、炭化した門の部材や角釘、飾り金具なども出土しています。

当時の人々の暮らしがわかる遺構

城跡の随所で見つかる出土品には、当時どのような儀式が行われ、どのように生活していたのかがうかがえるものもあります。

地鎮祭祀跡や大井戸跡

二の郭の内側では、造成時に埋められた痕跡のある土杭（どこう）が見つかりました。

土坑を中心とした四つの柱跡や、カワラケ（素焼きの器）、貝殻なども同時に発掘されたことから、築城の際に行われた『地鎮祭祀跡』であると考えられています。

また、三の郭には直径10mの『大井戸跡』も発見されました。8.5mまで掘り下げて調査されましたが井戸の底にはたどり着いていません。わざわざ標高の高い三の郭に井戸を掘ったのは、籠城戦の際に敵により水を断たれないためだと考えられています。

戦国時代の歴史に触れられる場所

滝の城跡は、本丸・土塁・空堀などの遺構が残る埼玉県の指定文化財です。柳瀬川・東川に挟まれた標高のある台地は、城を築くにふさわしい場所であったといえるでしょう。

障子堀と呼ばれる空堀が張り巡らされ、城に通じる橋を狙える櫓台も見られます。有利に戦を展開するために設けられた数々の遺構からは、命がけで城を守った戦国時代の名残が感じられるでしょう。

• 施設名：滝の城跡
• 住所：埼玉県所沢市城537
• 電話番号：04-2998-9253（所沢市 教育委員会教育総務部 文化財保護課）
• 公式HP

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