建築や住宅の話をするときには、専門用語がよく使われます。建物を建てるためにはさまざまな専門家がコラボレーションするため専門用語の種類も多くなりがちです。そのため、一般のユーザーにとっては聞き慣れない用語もでてきます。たとえば「ホワイエ」という言葉はその好例です。ホワイエは、日常的には使わないためそれほど一般的な言葉ではありません。そこで、この記事ではホワイエとはどんなものか、またその利用方法とメリット・デメリットなどを説明していきます。
目次
ホワイエ(foyer) とは、建築や住宅を説明するときには「たまり場」「団らんの場」を意味するフランス語です。もともとは「火」を意味する feu から派生した言葉で、暖炉やかまどなどの火のある空間を指します。かつては、家族のメンバーが集まるときには火を囲むことが多かったため、「家族」や「家庭」の意味もあります。たとえば、「専業主婦」は femme au foyer (家にいる女性)と表現するのです。
建築設計者が「ホワイエ」を使うときには、主に劇場、映画館、会議室などのエントランス(出入り口)を入ってすぐに設けられた広い空間のことを指します。英語では、ロビー(lobby)と呼ばれます。建物の外部から内部に入る動線上に置かれる、気持ちを切り替えたり、さまざまな準備をしたりする空間です。建物の規模が大きければ、ホワイエ専用の部屋を設けることがありますが、空間的な制約が大きい場合は、廊下を広くしてホワイエの機能を持たせることもあります。
本来の意味合いは、大人数で利用できる広い空間がホワイエです。住宅規模になると、1人または数人で利用するゆとりのある空間もホワイエと表現することがあります。たとえば、広めの玄関ホールや廊下にホワイエ機能を与えたり、スキップフロアや階段下などを利用したりします。
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住宅でのホワイエを設ける場所としては、玄関回り、スキップフロアや階段下、また廊下などが考えられます。ホワイエはリビングやキッチンのように機能的な役割が明確ではありません。逆にいえば、家族構成やライフスタイルによってさまざまな利用方法があるのです。
住宅の設計段階で玄関ホールを広めにとっておくと、ホワイエとして利用できます。一般的な住宅では、玄関ホールよりも居室の広さを優先しますが、敷地や予算に余裕がある場合は、玄関ホールを広くしておきましょう。あとで空間の機能を拡張することができるため、玄関回りをフレキシブルに活用することができます。
広い玄関ホールにホワイエとしての機能を持たせるには、たとえば、小さなテーブルと椅子を置いて応接室として使う方法があります。ちょっとしたテーブルと椅子のセットがあるだけで、ゆとりある生活やプライバシーの確保ができるのです。
玄関ホールをホワイエにするメリットは主に2つあります。1つ目は、外部と内部との緩衝空間として使える点です。玄関の先がリビングに直結していると、散らかっているときに急に人が訪ねてくると困ってしまいます。玄関ホールにちょっとした対応スペースがあれば、慌てて片付ける必要がありません。
2つ目は、訪問セールスなどの来客の際に、部屋の中にまで入って来てほしくない場合には、玄関ホールで対応できる点です。知人・友人ならともかく、知己ではない人物に部屋の中を見られるのは気持ちの良いものではありません。ホワイエを設けておけば、家族のプライバシーを守ることができるのです。
スキップフロアとは、中2階や半地下など、上下階の空間的連続性を残したまま、床の高さをずらして積層させるフロア構成のことです。スキップフロアや階段下のスペースは、魅力的なホワイエとして利用できます。
スキップフロアや階段の最下層の部分は、どちらかといえば閉鎖的な空間です。ここをホワイエとして利用するのであれば、空間の性質を活かした使い方がおすすめです。壁が多くなるため、視線が外に広がらないので、落ち着いてものを考えたり、精神を集中させたりすることに向いています。たとえば、子どものことを考えるのであれば、遊び場や勉強室として使えます。クライアント自身のための空間であれば、書斎などの知的創造活動の場として最適です。
ホワイエとして、スキップフロアや階段下を使う主なメリットとは、開放性と閉鎖性をバランスよく活用できる点です。子どもの空間として使えば、ある程度の空間的なまとまりを保ちながら、個室ではないため親の目が届きやすくなります。また、構造によってはオープンでありながらも隠れ家的な空間として使える場合もあるのです。
廊下の役割は主に移動のための動線なのですが、幅を広めに取ったり、廊下の角部分に余裕をもたせたりしておくと、ホワイエとして利用できます。
廊下を広めに取るといっても、居室とのバランスを考えると、寸法的な限界はあります。そこで、水平方向に拡張するのではなく、垂直方向の広がりを活かすような使い方がおすすめです。たとえば、廊下を30cm程度広めにとって棚を設置すれば、壁面全体に広がる書棚にすることができます。書棚には本だけではなく、アート作品などを展示すれば、ギャラリースペースにもなります。さらに、廊下の突き当りに簡易なテーブルと椅子を設置すれば、オープンな書斎が作れるのです。
廊下をホワイエとして利用すれば、住宅の中のデッドスペースの有効活用につながります。書籍やアート作品の展示には奥行きはそれほど必要はありません。居室の中に棚を置くと、そのぶん空間も狭くなり、場合によっては雑多な印象を与えることがあります。そこで、廊下の壁面を見せる収納として活用するのです。
また、一般的な住宅では廊下の突き当りはデッドスペースになっている例が多く見られます。もし、住宅を設計していて書斎を設けることがスペース的に難しい場合は、廊下を書斎にしてしまえば、2つの課題が一挙に解決できるのです。
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実際のところ、ホワイエの使い勝手はどうなのでしょうか。ここでは、そのメリットやデメリットについて考えてみましょう。
住宅にホワイエがあれば、おしゃれな雰囲気は楽しめます。また、ホワイエは機能が限定されていない自由な空間です。そのため、住宅にホワイエを設けておくと、家族のコミュニケーションが活性化したり、生活にゆとりが生まれたりする効果が期待できます。
ホワイエに明確な機能がないことはメリットなのですが、場合によってはデメリットになることがあります。なぜなら、うまく活用できなければ単なる無駄な空間になってしまうからです。また、住宅全体の面積配分を考えると、ホワイエを広くすれば、そのぶん他は狭くなります。他の居室の面積が小さくなったり、収納スペースが少なくなったりするのです。設計段階で、ライフスタイルと諸室の必要面積とのバランスを十分に考慮する必要があります。
住宅のホワイエは壁や扉で仕切られていない開放的な空間です。住む人のライフスタイルに合わせて、さまざまに楽しめる魅力的な場になる可能性を持っています。住宅にホワイエを設けることで、自分なりの活用法を見つけてみましょう。
この記事を書いたライター
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