西洋式の生活スタイルが浸透するにつれて、「床の間のある和室」がある家も昔よりは減ってきています。床の間のある座敷がある家でも、段差があったりスペースが限られたりしているためどのように活用したらいいかよくわからないという人も多いようです。そもそもなぜ、和室には床の間というものがあるのでしょうか。今回は床の間とは何なのか、床の間の持つ古い歴史から時代に合わせた意味や役割の変化、現代の生活スタイルに合わせて活用するためのポイントまでをご紹介します。
目次
自分の家に床の間がなくても、旅館の客室や知り合いの家を訪れた際に目にしたことがある人は多いでしょう。つまり床の間のある部屋とは、「お客様をおもてなしする」部屋であるということです。
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床の間とは、書画や生け花、茶器などを飾るために和室より一段高くしつらえられた空間のことです。幅2mから4m、奥行きは60cmほどの細長い空間で、一般的には壁に掛け軸、板張りや畳張りの床には茶器や香炉、花などが飾られ、日本建築における座敷飾りとしてとても重要なものと考えられています。
床の間の起源は室町時代、僧侶が仏画を掛けた壁の前に三具足とも言われる花瓶、香炉、燭台を飾ったことから始まったと言われています。この三つを置いた台を「床(とこ)」と呼んだことから貴族や一部の武士の間に広がり、「床の間」の原型が生まれました。
安土桃山時代になると、織田信長や豊臣秀吉が千利休を重用したことで、一般の武士の間にも茶の湯が文化として広く浸透しました。茶室の床の間に貴重な掛け軸や茶道具を飾って客人をもてなす事が風流とされ、この頃から床の間のギャラリーとしての役割がより強くなってゆきます。さらに江戸時代初期になると庶民にまで茶の湯の文化は広まり、数寄屋造りの茶室が流行するとともに床の間を設置する家が増えていきました。
平安から鎌倉時代の中期まで畳は高貴な人の座所、または寝台にしか使えないものでした。板張りの床に畳やゴザを置くことで一段高い上座としての機能を有していたのですが、室町時代になり書院造りの建築様式が出現したことで、畳は部屋一面に敷き詰められるものとなり、それまでの高貴、神聖な場所としての意味が薄れてしまいました。
そこで武家の屋敷では身分の上下をはっきりさせるため、「上段の間」と「下段の間」という二部屋一続きの形式が誕生します。上段の間は殿様のみが座る部屋であり、框と呼ばれる横木の高さ分だけ高くなっていました。
しかし、この様式は相当な敷地面積を持つ屋敷でなければ不可能です。そのため下級武士の間では上段の間を極限まで小さくした「床(とこ)」を作り、一部屋の中でも床の間に近い方が身分が上とすることで対応しました。
歴史ある床の間ですが、時代とともに住居や生活スタイルが変化していくにつれ、新しい様式も誕生してきました。ここでは、現代に残る主だった床の間のスタイルを3種類ご紹介します。
最も一般的な形の書院造りの床の間がこちらです。一段高くなった床に床板を敷き、床框と言われる横木で表面が綺麗に見えるようになっています。床柱を挟んで隣の空間には違い棚、床の脇には付書院と呼ばれる採光のための窓と棚板がつくのが正式な形です。付書院は元々蛍光灯などない時代に少しでも明るく書き物などをするための工夫でしたが、現代では飾りとしての要素が強くなっています。
本来はこれらを合わせて「床の間」と呼びますが、現代の限られた住宅事情から違い棚や付書院を省略して床だけを設置する家も増えており、床の間といえば「床」のみをイメージするという人も多いようです。
主に茶室でよく使われてきた床の間の形が「壁床」です。簡素さを追求した茶室では高級な木材を用いて作られる床柱や床板などを使用せず、壁や廻縁の下に軸釘を打っただけの簡素な床の間が好まれました。
侘び寂びから美を感じるという、茶の湯の心を見事に反映した形式です。
上記の他にもさまざまなスタイルの床の間があります。伝統的な形の変化系はもちろん、洋室や和モダンな部屋にも合うような新しいスタイルにも注目が集まっており、「床の間とはこういうもの」というイメージを覆すような個性的なデザインが人気です。
通常は窓側には設置されない床の間をあえて窓側にしたり、フローリングの床の上に板を渡して床の間としたりしたシンプルなものもあります。どんな部屋にも調和する和洋折衷の床の間は、外部の文化を取り入れてより優れた新しいものを生み出してきた日本の美意識を象徴しているかのようです。
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では、実際に床の間をうまく活用するにはどのようにしたら良いのでしょうか。ここからは床の間の使いみちについてご紹介していきます。
本格的な座敷に本床のある応接間であれば、掛け軸や装飾品、花などを飾るとやはり映えます。しかし、何も骨董品のような高価なものや由来のあるものでなくても、自分の好みに合わせて飾りたいものを飾っていいのです。
アロマディフューザーや趣味で作ったプラモデル、盆栽や鉢植え、旅行土産の置物など、部屋の全体の雰囲気や演出を考えながら飾り付けするのも楽しいものです。
伝統的な日本家屋では、仏壇の置かれる部屋は仏様と向き合うための「仏間」であり、床の間とは客室の一部です。部屋の性質が違うため、床の間に仏壇を置くものではないと考えられてきました。しかし現代日本の限られた住宅事情では、仏間と客間両方がある家も少なくなってきています。床の間には宗教的な意味合いもないことから、現在では床の間に仏壇を設置しても問題ないとされているようです。
現代では昔のように広い敷地を持つ家も少なくなり、マンションやアパートでは床の間を持たない家も増えています。その中で、飾り付けのためだけスペースがあるとは意外と贅沢なことではないでしょうか。
確かに茶室や旅館、料亭など正式なおもてなしの場には一定のルールに則った飾り付けをする必要があります。しかし個人の家で、あまり気負わないお客様をおもてなしするのなら、細かい作法云々よりももてなそうという気持ちが大事です。あまり床の間とはこうあるべきという考えに囚われすぎず、自分好みの空間を作ってみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
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